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近代西洋医学に、補完・代替医療(complementary and alternative medicine: CAM)をその安全性と有効性を検討しながら統合していく新しい医療概念です。心と身体を別々に考える従来の近代西洋医学に対して、心と身体は密接な関係があると考える心身医学(mind-body medicine)や行動医学の立場から人の健康や病気を考えていきます。スピリチュアリティ(霊性)をも包括したホリスティックな視点も重視しています。米国では医師や看護師の教育カリキュラムとして取り入れられるようになっており、臨床現場でも統合医療を行っている大学病院が増えつつあります。

統合医療とはイメージ

補完・代替医療(complementary and alternative medicine:CAM)
近代西洋医学以外の医療のことを示す言葉です。
世界中には多種多様なCAMが存在しており、これらの調査研究が米国を始めとした世界各地で現在進められています。米国の国立衛生研究所(national institutes of health:NIH)の国立補完・代替医療センター(national center for complementary and alternative medicine:NCCAM)では、現在次のような5つのカテゴリーに大きく分類しています。
1.代替医療システム
鍼灸や漢方などの東洋医学、チベット伝統医学・インド医学(アーユルベーダー)などの各民族固有の伝統的土着医療システムや、ホメオパシー・ナチュロパシーなどの西洋近代医学とは理論体系が異なる非主流西洋医療が含まれます。
2.心身相関を利用した治療的介入
身体疾患に対する認知行動療法などの心理療法や患者教育のほか、瞑想・催眠・バイオフィードバック・イメージ療法・サポートグループなど行動医学としても分類されているアプローチが含まれます。音楽療法・芸術療法・ダンス療法・笑い療法・ボディーサイコセラピーについても、行動医学領域と重なり合った心身相関に注目した療法とされます。そのほか、東洋的なものとしては、ヨガ・内気功・太極拳などがこの分類に含まれます。また、宗教的儀式や個人のスピリチュアリティーに関するもの(祈り・ヒーリングなど)も、その効果が心身相関に基づくと考えられています。
3.生物学的療法
動植物を使った健康食品やハーブ療法のほか、各種食養生法や栄養療法がこの分類に含まれます。
4.手技療法や身体の構造や動きを利用したアプローチ
カイロプラクティック・オステオパシー・各種マッサージ療法のほか、ボディーワークと総称される身体へのさまざまな手法がこの分類に含まれます。
5.エネルギー療法
身体から発生する目に見えないエネルギーや、身体外からの電磁場などのエネルギーを利用する療法で、中国での外気功、米国でのセラピューティックタッチ・ヒーリングタッチ、英国でのスピリチュアルヒーリング、日本のレイキなどが含まれます。

ホリスティック医学とは

ホリスティック医学とは、人間を心と身体だけではなくスピリチュアル(霊性、精神性)な存在としてもとらえていこうとする医療哲学です。統合医療は、ホリスティック医学を実際の臨床現場で実践する医療システムと言えるでしょう。

*ホリスティック(holistic):ギリシャ語の「ホロス(holos)」が語源。
健康(health)、癒す(heal)も同じ語源と言われています。

次に、日本ホリスティック医学協会の定義を紹介しておきます。

  1. ホリスティック(全的)な健康観に立脚する。
  2. 自然治癒力を癒しの原点におく。
  3. 患者が自ら癒し、治療者は援助する。
  4. 様々な治療法を選択・統合し、最も適切な治療を行う。
  5. 病の深い意味に気づき自己実現をめざす。